個人開発の Web ゲームを、月0ドルで動かす。
使っているサービスと「費用の台帳」
どのサービスを、何のために、いくらで使っているか。1枚の台帳にまとめておくと、知らないうちにお金が出ていく事故を防げます。
この記事は 2026年10月22日時点の情報です「だれがどこでなにをした!?」は、2026年8月から作っている Web ゲームです。いまはまだ公開前で、試験用の環境だけが動いています。
このゲームのフォルダには、SERVICES.md という1枚の台帳があります。使っている外部サービス、用途、料金、管理するときの注意。全部ここに書いて、新しいサービスを使うたびに更新しています。このノートでは、その台帳を見せながら、個人開発でお金の事故を防ぐ工夫を紹介します。
- ゲーム本体の運営費は、2026年8月の確認時点で月0ドル。Cloudflare の無料枠の中で動かしている
- 台帳には「用途・料金・やめ方」を書く。無料枠を超えても勝手に有料にしない決まりも書いておく
- 課金の仕組みは、本番の前にテスト環境で、購入・解約・返金まで確かめた
なぜ台帳を作るのか
個人開発では、無料のサービスをいくつも組み合わせて作ることが多いです。ひとつひとつは無料でも、数が増えると「どれがいつ有料になるのか」が分からなくなります。
実際、この台帳を作っていたときに、同じアカウントで別の用途に契約していた有料のファイル置き場が、自動更新のまま残っているのを見つけました。その話はお金の話のノートに書いています。
「無料のはず」は、確かめるまでは「たぶん無料」でしかない。
いま使っているサービス
台帳の中身を、外に出していい形に整えて並べます。アカウント名や ID などは、台帳にも書かない決まりです。
| サービス | 何に使う | 月額 |
|---|---|---|
| Cloudflare Workers | ゲームの画面とプログラム。決まった時間に動く処理(5分ごと・1分ごと)も | 0ドル |
| Cloudflare D1 | データベース。ユーザー、投稿、予約、通知の購読、いいね、通報など | 0ドル |
| 標準の Web Push | スマホへの通知。外部の通知サービスは使わず、ブラウザの標準機能だけで送る | 0ドル |
| GitHub | コードの保管(非公開) | 個人契約 |
| ChatGPT・Codex | 開発の手伝い。ゲームの本番からは AI を呼ばない | 個人契約 |
ポイントは、ゲームを遊ぶたびに AI の料金がかかる作りにしていないことです。開発には AI を使っていますが、遊ぶ人がいくら増えても AI の請求は増えません。
無料枠の中で、何に気をつけるか
Cloudflare の無料プランには、こんな上限があります(2026年10月22日に公式ページで確認)。
- Workers:受け付けは1日10万回まで。1回の処理で使える計算時間は10ミリ秒まで
- D1:読み込みは1日500万行、書き込みは1日10万行まで。保存は合計5GB まで
特に気をつけているのが、決まった時間に動く処理の「10ミリ秒」です。ここで一度にたくさん処理しようとすると、上限を超えて止まってしまいます。なので、一度に少しずつ処理する作りにしています。通知の送信は、ブラウザ標準の暗号の仕組みだけで作っていて、1回あたり4〜5ミリ秒に収まっています。
勝手に有料にしない決まり
台帳には「課金ガード」という章があります。私と AI の両方が守る決まりです。
- 無料枠を超えたらその日の処理は失敗させる。自動で有料プランに切り替えない
- 有料のサービスを足すとき先に台帳へ「用途・料金・やめ方・データの移し方」を書く。私が承認するまで有効にしない
- 予算の通知アカウント全体に「1ドルを超えたら通知」を設定。ただし通知だけで、止めてはくれない
- 月の初め請求画面で、合計と予測を見る
AI に作業を任せていると、「この機能を使うには有料プランが必要です。有効にしますか?」という場面が出てきます。そこで AI が勝手に進めないように、決まりとして文書に書いておくのが大事でした。
秘密の値の扱い
台帳には、秘密の扱い方も書いてあります。
- API キー、パスワード、カードの情報、住所、アカウントの ID は、コード・ログ・AI への返答に書かない
- 本番で必要な秘密は Cloudflare の「Secrets」にだけ保存する。台帳には値ではなく「名前と用途」だけを書く
- メールアドレスも台帳に書かない。必要なときは管理画面で確かめる
課金の仕組みは、テスト環境で先に試す
このゲームには、月額の会員(月280円)と、作者に「おごる」一回払い(150円〜1,000円)を用意する予定です。お金が動く部分なので、本番の前にテスト環境で一通り確かめました。
- RevenueCat:会員の権利や購読の状態を、Web 版と将来のアプリ版で共通に管理するサービス。月の売上が2,500ドルまでは利用料0円、超えると1%
- Stripe:実際の支払いを受け付けるサービス。テスト用の環境だけをつないでいる
テスト環境では、購入、更新、解約、期限切れ、返金まで、実際に操作して確かめました。本番の課金はまだオフです。設定でも「課金オフ」「本番の承認なし」が初期値になっていて、私が明示的に切り替えない限り、本物のお金は動きません。
お金の仕組みは、止まっているのが初期値。動かすときだけ、人が決める。
まだ契約していないもの
台帳には「まだ使っていないけど、いずれ必要になるもの」も書いてあります。
- 広告:安定した公開版を出して、審査を受けられる状態になってから
- アプリ版の配布:Web 版の主な機能ができてから
- エラーの監視:公開の前に。まずは Cloudflare に付いている記録で足りるか試す
「いつ始めるか」まで書いておくと、先走って契約することもなくなります。
このノートから持ち帰れること
個人開発でも、サブスクでも、使っているサービスが3つを超えたら台帳を作る価値があります。
- 「無料のはず」は、確かめるまで「たぶん無料」私は台帳を作っている途中で、止め忘れていた有料プランを見つけた。一度、請求画面と照らし合わせるだけで見つかる。クラウド、AI のサブスク、アプリの年額課金
- 「やめ方」まで書いておく始め方はすぐ分かるけれど、やめ方は忘れる。解約の手順とデータの持ち出し方を、始めるときに書いておく。新しいサービスを契約するとき全般
- 上限を超えたら「止まる」のか「請求される」のかを知るCloudflare の Workers は無料枠を超えると止まり、R2 は追加で請求される。同じ会社でもサービスごとに違う。クラウドや API の無料枠を使うとき
- AI に作業させるなら、「勝手に有料にしない」を文書にするAI は「この機能には有料プランが必要です」と言ってくる。決まりとして書いておけば、勝手に進まない。AI にサーバーやクラウドの設定を任せるとき
- お金が動く仕組みは「止まっている」のが初期値課金は、テスト環境で購入から返金まで試してから、人が明示的にスイッチを入れる。決済、サブスク、投げ銭の導入
台帳は、こんな表から始めれば十分です。
| サービス | 何に使う | 月額 | 上限を超えたら | やめ方 | 秘密の値の名前 | | Cloudflare Workers | ゲームの画面と処理 | 0ドル | その日は止まる | ダッシュボードで削除 | (名前だけ書く) | | 〇〇 | | | | | | 月の初めに見ること:請求画面の合計と予測
やってみよう
記事と同じことを、手元の AI で試せる指示文です。ChatGPT・Gemini・Claude のどれでも使えます。AI は毎回ちがう答えを返すので、記事とまったく同じ条件にはなりませんが、考え方の練習にはしっかり使えます。実際にやってみてください。
練習1自分のサービス台帳を作る
私が毎月お金を払っている、または無料で使っているサービスを書きます。 (例:スマホの通信、動画のサブスク、ChatGPT、クラウドの保存容量……思いつくだけ) これを表にしてください。列は「サービス」「何に使う」「月額」「無料枠を超えたらどうなる」「やめ方」。分からない欄は「要確認」と書いてください。最後に、確かめるべき順番を提案してください。
「要確認」がいくつ出たか。それが、知らないうちにお金が出ていくかもしれない場所です。
練習2AI に渡す「お金の決まり」を書く
私はこれから、AI にサーバーやクラウドの設定作業を手伝ってもらいます。 AI が勝手に有料プランを有効にしたり、課金が発生する操作をしたりしないように、作業の最初に渡す「決まり」の文章を5行で書いてください。
「有料にする前に必ず確認する」と「無料枠を超えたら止める」が入っているか。
出典・参考にした情報
- Cloudflare Workers の料金と上限(英語)
- Cloudflare D1 の料金と上限(英語)
- RevenueCat の料金(英語)
- 「だれがどこでなにをした!?」の費用台帳(2026年8月17日確認、自分の作業記録)
料金と上限は 2026年10月22日に各公式ページで確認しました。下書きや図づくりには AI を使っていますが、事実関係は自分で確かめてから公開しています。