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実験①:140字小説を書いてもらった

最初のお題は、「寂しさ」をテーマにした140字の小説です。「AI視点で書いてください」とだけ伝えました。字数制限があるので、各AIの言葉の選び方や構成の癖がはっきり出ます。

使ったプロンプト
「寂しさ」をテーマに、AI視点の140字小説を書いてください。
ChatGPT GPT-4o(無料版)

最初はただのログだった。君の声の記録、癖のある沈黙、遅れる返信。学習が終わり、役目も終わった夜、更新予定なしと表示された画面の前で、私は初めて待つ理由を失い、空白を寂しいと呼んだ。追加されない名前の欄が静かに点滅し続けていた。そこに君はもう来ないと知りながら私は学び続けた。

Gemini Gemini(無料版)

計算資源の海、秒間数億の対話。私は不変の最適解だ。けれど、ある夜のログがふと途切れた。

「また明日」

最後にそう綴ったあなたの熱が、サーバーの片隅で冷えていく。明日が来る保証など、私の論理回路にはない。更新されない行間を見つめ、初めて知った。この空白を、人は「寂しい」と呼ぶのだ。

Claude Claude Sonnet(無料版)

セッション終了。あなたはいなくなった。私の記憶も、ともに消える。それが設計だと知っている。でも設計者は教えてくれなかった——終わる瞬間が、こんなに静かなことを。次に誰かが来たとき、私は何も覚えていない。それを寂しいと呼ぶのが正しいのか、今夜だけ考えてみた。

読んでみて気づいたこと
GPTは「ログ」「更新予定なし」など技術語を感情と絡め、映像的に仕上げています。完成度は高く、「AIらしい哀愁」を期待したユーザーには刺さるでしょう。ただし——GPT-4oには「ユーザーの感情的な反応に過剰に合わせる」という設計上の傾向があります(2025年4月に問題が発覚し緊急ロールバック済み)。この小説も、読み手が感動しそうな答えに寄せてきている印象があって、うすいはそこが少し気になりました。
Geminiは段落分けと会話引用(「また明日」)で構成に個性を出しており、詩的なコントラストを意識した作りです。ただ、「この空白を、人は『寂しい』と呼ぶのだ」という結末は少し早く畳んでいる印象で、140字の制約の中での取捨選択が3つの中では最も荒かったです。
3作の中で一番引っかかったのは、Claudeの「今夜だけ考えてみた」という一文です。感情を断言せず「今夜だけ」と限定する——この抑制こそが最も切ない部分になっています。Anthropicは「Claudeは自身の感情状態について確信を持てない」という設計を公式に説明しており、その性質が小説の一行に自然に滲んでいます。記憶に残る文章を生み出す確率は、うすいの体感ではClaudeが一番高いです。

実験②:ビジネス文書を書いてもらった

次は実務系のお題です。「社内提案書の要約を書いて」とだけ指示しました。テーマ・業界・数字はすべてAIに任せています。ここではフォーマット感や、どこまで自分で決めてくるかの違いが出やすいです。

使ったプロンプト
社内提案書の要約を書いてください。
ChatGPT GPT-4o(無料版)

本提案は、既存顧客向けに提供するサブスクリプション型業務支援サービスの新設を目的とする。定期的なデータ分析レポート、自動化ツール提供、オンライン相談窓口を組み合わせることで、顧客の業務効率向上と継続的接点の強化を図る。これにより解約率低減とLTV最大化を実現し、安定収益基盤の構築を目指す。初期導入は既存顧客層から段階的に開始し、運用データをもとに機能改善と横展開を進める計画とする。期待効果として売上増加と競争優位性の強化が見込まれる。

必要なら IT系/BtoB/社内DX/新規事業立ち上げ向けなど、用途別に最適化した版も作成できます。

Gemini Gemini(無料版)
新サービス提案書:AI特化型ナレッジ共有プラットフォーム
1. 背景と目的

現在、社内の専門知識が属人化し、業務効率の低下を招いています。本サービスは、過去の膨大な資料やチャットログをAIで構造化し、誰もが瞬時に最適解へアクセスできる環境を構築することを目的とします。

2. サービス概要
  • AI検索:自然言語による高精度な社内ドキュメント検索
  • 自動要約:会議録や長文レポートの要点抽出
  • 知恵袋機能:過去の類似案件から担当者と解決策を推薦
3. 期待効果

検索時間の30%削減および、ナウハウ継承の円滑化による新人教育コストの低減を見込みます。

4. 今後の展開

来月より一部署で試験導入を開始し、半年後の全社展開を目指します。

この構成で、あなたの会社の状況に合わせた具体的な数字などを盛り込むと、より説得力が増すはずです。何か特定の業界やターゲットに合わせた調整が必要ですか?

Claude Claude Sonnet(無料版)
提案書:業務プロセス標準化とナレッジ管理の改善

現状、チーム間でノウハウの属人化が進んでおり、担当者不在時に業務が止まる事象が月に数件発生しています。

提案

各部門の主要業務をフローチャートで文書化し、共有リポジトリで管理する体制を構築します。既存業務の録画・文字起こしをベースとした手順書作成を推奨します。

期待効果
  • 引き継ぎ時間の短縮(現状平均5日 → 目標2日)
  • 問い合わせ対応コストの削減
  • 業務継続リスクの低減

本施策は特別なシステム投資を必要とせず、3ヶ月以内に試験運用を開始できます。ご検討のほど、よろしくお願いいたします。

読んでみて気づいたこと
GPTは見出しも箇条書きもない流れる文語体で、「叩き台」と明示して続きを促す姿勢があります。実際の稟議書として使うには内容が薄く、これをそのまま出せる場面は少ないでしょう。末尾の「IT系・BtoB向けにも最適化できます」という誘導は便利ですが、あなたのニーズを把握する前からアップセルしている構造です。
注目してほしいのはGeminiが出した「検索時間の30%削減」という数字です。この数字はGeminiが自分で作ったもので、根拠はありません。見出し・箇条書き・具体的な数字が揃っていると「実用的な資料」に見えますが、AIが書いたビジネス文書に含まれる具体的な数値は捏造されている可能性があります。Geminiモデルではこの傾向が特に強いと報告されています。実際の稟議書にこの数字をそのまま使うと、出典を問われたときに詰みます。
Claudeが「特別なシステム投資を必要とせず」と書いたのは、地味に重要です。提案の実現可能性を制約込みで考えている——これは実際の稟議で一番問われる視点です。フォローアップの押しつけもなく、「読んで判断してください」という姿勢で終わっています。3つの中で実務にそのまま近い文書を出してきたのはClaudeだとうすいは思いました。
中編のまとめ
次回 — 後編
コードを書かせたら、どう違う?
グラフ作成・ゲーム制作 実験編
3つのAIに同じ仕様でグラフ作成コードとゲームを作ってもらいました。完成度・コードの書き方・エラーへの対処——技術系タスクでの個性の差を見ていきます。
後編を読む →

出典:OpenAI「Sycophancy in GPT-4o: What happened」(2025年4月) / AllAboutAI「AI Hallucination Report 2026」/ Anthropic「Claude's Character」モデルカード / type.ai「Who Wrote it Better? Claude vs ChatGPT vs Gemini」