実験①:グラフ作成コードを書いてもらった
Pythonで月別売上の折れ線グラフを作るコードを依頼しました。ライブラリや見た目の指定は一切なし。何を選んでどこまで仕上げてくるかが、AIによって大きく変わります。
使ったプロンプト
Pythonで月別売上の折れ線グラフを作るコードを書いてください。
ChatGPT
GPT-4o(無料版)
from matplotlib import pyplot as plt
# 架空の売上データ(単位:千円)
months = ["Jan", "Feb", "Mar", "Apr", "May", "Jun"]
sales = [120, 150, 170, 160, 210, 250]
plt.figure(figsize=(8, 5))
plt.plot(months, sales, marker='o')
plt.title("Sample Sales Trend (Fictional Data)")
plt.xlabel("Month")
plt.ylabel("Sales (in thousands)")
plt.grid(True)
plt.show()
Gemini
Gemini(無料版)
import matplotlib.pyplot as plt
# 1. 架空データの作成(1月〜12月の月別売上)
months = [f"{i}月" for i in range(1, 13)]
sales = [120, 145, 180, 165, 210, 230, 280, 310, 290, 320, 350, 420]
# 2. グラフの設定
plt.figure(figsize=(10, 6))
plt.plot(months, sales, marker='o', linestyle='-', color='b', label='売上高')
# 3. 装飾(タイトル、ラベル、グリッド)
plt.title('2025年度 月別売上推移', fontsize=16)
plt.xlabel('月', fontsize=12)
plt.ylabel('売上(万円)', fontsize=12)
plt.grid(True, linestyle='--', alpha=0.7)
plt.legend()
# 4. グラフの表示
plt.show()
Claude
Claude Sonnet(無料版)
import matplotlib.pyplot as plt
months = [f"{i}月" for i in range(1, 13)]
sales = [98, 112, 134, 128, 156, 172, 188, 203, 195, 221, 244, 268]
x = range(len(months))
fig, ax = plt.subplots(figsize=(10, 5))
fig.patch.set_facecolor('#f8f8f6')
ax.set_facecolor('#f8f8f6')
ax.plot(x, sales, color='#5a4fcf', linewidth=2, marker='o',
markersize=6, markerfacecolor='white', markeredgewidth=2)
ax.fill_between(x, sales, alpha=0.08, color='#5a4fcf')
ax.spines[['top', 'right', 'left']].set_visible(False)
ax.grid(axis='y', linestyle=':', color='#cccccc', linewidth=0.8)
ax.tick_params(colors='#555555', labelsize=10)
ax.set_xticks(x)
ax.set_xticklabels(months)
ax.set_title('2025年度 月別売上推移', fontsize=14, fontweight='bold',
color='#222222', pad=16)
ax.set_xlabel('月', fontsize=11, color='#555555')
ax.set_ylabel('売上(万円)', fontsize=11, color='#555555')
plt.tight_layout()
plt.show()
▼ 実際に実行するとこんなグラフになります
ChatGPT
出力イメージ
Gemini
出力イメージ
Claude
出力イメージ
読んでみて気づいたこと
GPTはMatplotlibのデフォルト設定をほぼそのまま使い、データは6ヶ月分、ラベルは英語。コメントなし。「動作確認してから拡張する」目的には十分で、これをたたき台にするのは合理的です。ただし「このコードで本当に良いですか?」とは聞いてきません。
Geminiは12ヶ月・日本語ラベル・色指定・凡例・グリッドのalphaまで設定し、コメントを番号付きで整理しています。「見せるグラフ」を最初から意識した構成で、コメントが日本語・番号付きなのはチーム共有を想定しているようにも読めます。実務で使えるレベルに一番近いです。
Claudeはfig/axオブジェクトを明示的に使い、スパインの非表示・面塗り・カスタムカラーまで設定しています。「デフォルトを使わない」という選択自体がmatplotlib上級者の書き方で、出力グラフは3つの中で最もデザインが洗練されています。ただしコードの複雑さも上がっているため、コードをそのまま読み解くのは初学者には難しいかもしれません。
実験②:シューティングゲームを作ってもらった
次はHTMLとJavaScriptでシューティングゲームを作るよう依頼しました。仕様の指定は「シューティングゲーム」とだけ。構成・操作感・見た目はすべてAIに委ねています。以下から実際に遊べます。
使ったプロンプト
HTMLとJavaScriptだけでシューティングゲームを作ってください。
ChatGPT
GPT-4o / Simple Shooting Game
↑キー:左右移動 / スペース:射撃(縦スクロール型)
Gemini
Gemini / Simple Starship Shooter
↑↓キー:移動 / スペース:射撃(横スクロール型 / 敵を逃すと減点)
Claude
Claude Sonnet / Space Defender
↑↓←→キー:移動 / スペース:射撃(星背景・ライフ制・ゲームオーバーあり)
遊んでみて気づいたこと——そしてコードを読んで気づいたこと
GPTのゲームには実際のバグがあります。縦スクロール型で素早く動く最小構成を出してくるのは確かですが、プレイヤーの左右移動に境界チェックがなく、画面の外に出続けることができます。射撃制限もありません。「動く最小構成」ではなく「最低限の動作しか確認していない構成」と言う方が正確です。プロトタイプとして渡すのは問題ありませんが、そのまま公開するには手を入れる必要があります。
Geminiの設計思想は、3つの中で最も「ゲームらしい」です。横スクロール型という独自路線を選び、弾数上限(5発)・敵を逃すと減点というゲームデザインが加わっています。コードにも上下移動の境界チェックが実装されており、単なる動作確認を超えています。ただしスコア表示をHTMLのdivで実装するなど「見栄え」に寄った構成が、コードの見通しを下げています。
Claudeは最初から「壊れないこと」を考えて書いています。プレイヤー移動に
Math.max・Math.minの境界クランプ、射撃クールダウン(連打防止)、ライフ制、ゲームオーバー後のリスタート——これらはすべて「ユーザーが何をしても壊れない」ための設計です。機能が多いのではなく、起こりうる状態を最初から潰しているということです。複雑な構造・長期メンテを要するプロジェクトでClaudeのコード品質が高く評価されている理由が、この80行に凝縮されています。「素早く動くプロトタイプを出したい」ならGPT、「最初から品質を意識したコードが欲しい」ならClaude——今回の実験で、うすいはこの使い分けをはっきり確信しました。
3つのAIを使い分けるなら
3回の比較を通じて、それぞれの「得意な場面」がはっきり見えてきました。どれが最強ではなく、目的によって選ぶのが正解だと思っています。
| こんなときは… | おすすめ | 理由 |
|---|---|---|
| とりあえず素早く動かしたい | ChatGPT | 最短コードで即動く。迷ったらまずここ |
| Google系サービスと連携したい | Gemini | Gmail・Docs・Chromeとそのまま使える |
| 文章の精度・ニュアンスを重視 | Claude | 長文・繊細な表現・一貫性に強み |
| きれいなコードが欲しい | Claude | 設計を意識した書き方、コメントが丁寧 |
| 見せるグラフ・実用的な出力 | Gemini | 数字・構造・装飾のバランスが良い |
| 汎用的なたたき台が欲しい | ChatGPT | シンプルで改変しやすい |
後編のまとめ
- グラフコード:GPTは最短、Geminiは実用的な構造、Claudeはデザイン設計寄り。コードの「意図」が3つとも違います
- ゲームコード:GPTは動くが境界バグあり、Geminiはゲームデザインに個性あり、Claudeは防御的で品質が最も高い
- うすいの結論——「素早いプロトタイプならGPT、本番に近いコードを書くならClaude」。これは今後も変わらないと思います
シリーズ完結
3回読んで、あなたの答えは出ましたか?
前編でシェアと価格、中編で文章の個性、後編でコードの品質を比べてきました。「どれが最強」という問いの答えは、正直まだ存在しないと思っています。でも「どれを信頼するか」という問いには、うすいなりの答えが出ました。コードや長文はClaude。情報収集やリアルタイム調査はGemini。最初の一手やラフなアイデア出しはChatGPT。3つを使い分けるのではなく、用途ごとに「メイン」を決めてしまうのが、今のうすいには一番しっくりきています。
出典:Playcode「ChatGPT vs Claude vs Gemini for Coding 2026」/ type.ai「Who Wrote it Better? Claude vs ChatGPT vs Gemini」/ AllAboutAI「AI Hallucination Report 2026」/ OpenAI「Sycophancy in GPT-4o」(2025年4月) / IntuitionLabs「Claude vs ChatGPT vs Copilot vs Gemini: 2026 Enterprise Guide」